監修:渡邊ひろき 元自動車メーカー勤務/現トヨタ系ティア1エンジニア/1級自動車整備士資格保有者

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「2026年から車の税金が変わったって聞いたけど、結局いくら安くなるの?」「環境性能割の廃止って、今乗っている車にも関係あるの?」「ガソリン代は本当に下がったの?」

2025年から2026年にかけて、車にかかる税金が立て続けに見直されました。ニュースの見出しだけを追っていると「とにかく安くなる」という印象を持ちがちですが、実際には「下がるもの」「変わらないもの」「条件つきで下がるもの」が混在しています。整備士として相談を受ける中でも、この違いを正しく理解している人は多くありません。

この記事では、2026年の自動車税まわりの改正点を、公式発表をもとに整理します。さらに「結局いくら変わるのか」を具体例で示し、13年を超えた車に乗っている人が「乗り続けるか、売るか」をどう判断すべきかにも踏み込みます。

【この記事で分かること】

  • 環境性能割の廃止で何が安くなったのか(2026年3月末廃止)
  • ガソリンの暫定税率廃止による値下げの中身
  • 13年超の重課は続くのか/エコカー減税はどうなったか
  • 結局いくら変わるのか、具体的な金額イメージ
  • 13年超の車を「乗り続けるか売るか」の判断基準

結論から言うと、購入時の負担とガソリン代は下がりましたが、毎年の自動車税や13年超の重課は基本的に変わっていません。この後の本文で、根拠と具体的な金額を順番に説明していきます。


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環境性能割の廃止で、購入時の負担はどう変わった?

2026年改正で最も注目されたのが「環境性能割」の廃止です。これは車を「買うとき」にかかっていた税金で、毎年払う自動車税とは別物です。

環境性能割とは何だったのか

環境性能割(かんきょうせいのうわり)とは、車を取得(購入)したときに、その車の燃費・環境性能に応じてかかっていた税金です。かつての「自動車取得税」が2019年に名前を変えたもので、燃費が良い車ほど税率が低く、燃費が悪い車ほど税率が高くなる仕組みでした。

日本自動車販売協会連合会系の中古車販売協会連合会(JUCDA)の公表によると、この自動車税環境性能割および軽自動車税環境性能割は、2026年3月31日に成立した地方税法改正によって、同日をもって廃止されました(出典:日本中古自動車販売協会連合会「自動車税環境性能割の廃止について」)。

廃止で安くなる人・変わらない人

整備士の知見からお伝えしておきたいのは、「全員が一律に安くなるわけではない」という点です。

環境性能割は、もともと燃費の良いエコカーは非課税または軽減されていました。そのため、ハイブリッド車や電気自動車のように元から非課税だった車は、廃止されても購入時の負担に変化はありません。一方で、燃費基準を満たさないガソリン車・大型車などは課税対象だったため、廃止によって購入時の負担が軽くなります。

購入する車のタイプ廃止前の環境性能割廃止後の変化
電気自動車・燃費の良いハイブリッドもともと非課税が多い変化なし
燃費基準を満たさないガソリン車課税対象だった負担が軽くなる
大型車・輸入車など課税対象が多い負担が軽くなる

判定は「契約日」ではなく「登録日」

注意してほしいのが、課税の判定基準です。環境性能割がかかるかどうかは、契約した日ではなく、ナンバーを取得する「登録日」で判定されていました。つまり廃止の境目では、登録のタイミングが負担額を左右した、ということです。すでに登録済みの車を持っている人には、購入時に支払った税金が後から戻ってくるわけではありません。

【ポイント】 環境性能割の廃止は「これから買う人」の購入時負担の話です。すでに所有している車の維持費が下がるわけではない点に注意してください。


ガソリンの「暫定税率」廃止で、給油代はいくら下がった?

次に、多くの人の家計に直結するガソリン代です。こちらは「買うとき」ではなく「乗っているあいだ」ずっと関わる負担なので、影響が大きいテーマです。

暫定税率(当分の間税率)とは

ガソリンには「ガソリン税」がかかっていますが、その内訳には本来の税率(本則税率)に上乗せされた「暫定税率(当分の間税率)」が含まれていました。資源エネルギー庁の説明によると、この上乗せ分はガソリンで1リットルあたり約25.1円でした(出典:資源エネルギー庁「ガソリンの暫定税率の廃止でガソリン代はどうなるの?」)。

廃止のスケジュールと値下げの中身

公式情報によると、廃止のスケジュールは次の通りです。

燃料暫定税率の上乗せ分廃止のタイミング
ガソリン約25.1円/L2025年12月31日に廃止
軽油約17.1円/L2026年4月1日に廃止予定

ここで誤解されやすいのが、「廃止された当日に、店頭価格が25.1円ガクッと下がった」わけではない、という点です。資源エネルギー庁によれば、廃止に先立って補助金を段階的に拡充し、2025年12月11日にはガソリンの補助額が暫定税率と同水準の25.1円に達していました。つまり廃止前から、暫定税率分と同じ水準の値下げ効果がすでに実現していた、という流れです。

整備士という立場からの実感として、燃費の悪い車・走行距離の長い人ほど、この値下げの恩恵は大きくなります。たとえば年間1万km走り、燃費が10km/Lの車なら年間1,000リットルを給油する計算になり、1リットル25.1円の差は単純計算で年間およそ2.5万円の差につながります。

【ポイント】 ガソリンの暫定税率廃止は「給油するすべての人」に効く値下げです。ただし店頭価格は原油価格や為替でも動くため、「常に25.1円安い」と固定して考えないようにしましょう。


13年超の重課やエコカー減税は、結局どうなった?

ここまでは「下がった話」でしたが、変わっていない・条件つきの部分も正しく押さえておく必要があります。むしろ古い車に乗っている人にとっては、こちらの方が重要です。

13年超の重課は「継続」

新規登録から13年を超えたガソリン車・LPガス車は、自動車税(種別割)が重くなる「重課(じゅうか)」の対象です。これは2026年改正でも廃止されておらず、継続しています。

複数の損害保険会社の解説によると、重課のおおよその水準は次の通りです。

重課の種類対象おおよその上乗せ
自動車税(種別割)13年超のガソリン車・LPガス車約15%上乗せ
自動車重量税13年超約40%水準まで上乗せ
自動車重量税18年超さらに上乗せ

※ 電気自動車・一部のハイブリッド車などは重課の対象外とされています。具体的な税額は車種・重量・年式で変わるため、車検証と最新の税額表で確認してください。

整備士として現場で見てきた経験上、13年を超えるあたりから「税金が上がる」「部品交換が増える」という二つの出費が重なってくる傾向があります。だからこそ、このタイミングで一度「乗り続けるか売るか」を冷静に見直す価値があります。

エコカー減税は延長されたが、要件は厳しくなった

一方で、燃費の良い新しい車を優遇する「エコカー減税(自動車重量税)」は、2028年4月30日まで延長されました(出典:JAF交通安全トレーニングコラム「2026年の自動車税改正によって何が変わる?」、日本自動車工業会)。

ただし延長と引き換えに、対象となる燃費・排出ガス基準は段階的に厳格化される方針です。報道や公式解説によると、2027年5月1日に基準が引き上げられる予定で、これまで免税だった車種でも、次回以降の車検で減税の対象から外れるケースが出てくるとされています。つまり「制度は残るが、対象は絞られていく」という方向性です。


結局いくら変わる?具体例で整理

「全部まとめて、自分の場合いくら変わるのか」がいちばん知りたいところだと思います。タイプ別に、ざっくりとしたイメージで整理します。あくまで概算であり、実際の金額は車種・年式・走行距離で変動します。

ケース1:これから燃費の悪めの車を新車で買う人

  • 環境性能割の廃止 → 購入時の負担が軽くなる(課税対象だった場合)
  • ガソリン暫定税率の廃止 → 給油のたびに約25.1円/L分が軽くなる
  • 毎年の自動車税 → 基本的に変わらない

購入時とランニングコストの両方で恩恵を受けやすいパターンです。

ケース2:すでに車を持っていて、買い替え予定がない人

  • 環境性能割の廃止 → すでに支払い済みのため、戻ってくるものはない
  • ガソリン暫定税率の廃止 → 給油代の値下げ恩恵は受けられる
  • 毎年の自動車税 → 変わらない

「持っている車の維持費が大きく下がる」と期待しすぎないことが大切です。実質的に効いてくるのはガソリン代です。

ケース3:13年を超えた車に乗り続けている人

  • 13年超の重課 → 継続。自動車税は約15%、重量税は約40%水準の上乗せが続く
  • ガソリン暫定税率の廃止 → 給油代は下がる
  • エコカー減税 → 古い車は対象外のため、恩恵なし

整備士として正直に言うと、このケースがいちばん「冷静な計算が必要」です。値下げの恩恵はガソリン代に限られ、重課という割増は続くからです。

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13年超の車は「乗り続ける」か「売る」か、どう判断する?

最後に、相談を受けることがいちばん多いテーマに踏み込みます。「重課がかかる古い車を、これからも乗り続けるべきか、売るべきか」という判断です。

「割増の年負担」と「残っている価値」を並べて比べる

判断の出発点はシンプルで、次の二つを並べることです。

  1. 乗り続けた場合に毎年かかる割増(重課分)と、今後見込まれる整備費
  2. 今売った場合に手元に残る金額(買取相場)

重課によって自動車税・重量税が上乗せされ、さらに年式が進むほど消耗部品の交換も増えていきます。一方で、年式が古くなるほど買取相場は下がっていくのが一般的です。

判断材料乗り続ける場合今売る場合
自動車税・重量税重課で割増が続くこれ以上払わなくて済む
整備・修理費増えていく傾向不要になる
車の価値時間とともに下がる傾向今の相場で現金化できる
乗り換えの自由度縛られる選択肢が広がる

整備士として正直に言うと

「まだ動くから」という理由だけで重課された古い車に乗り続けると、税金の割増と整備費がじわじわ積み上がり、気づけば買取相場を上回る出費になっていた、というケースは珍しくありません。

ポイントは、感覚で決めずに「数字を並べて」判断することです。今の車にいくらの価値が残っているかを知らないまま、重課と修理費を払い続けるのは、もったいない選択になりがちです。まずは買取相場を確認し、「あと数年乗るコスト」と「今売って得られる金額」を見比べてから決めることをおすすめします。

なお、車を売るタイミングそのものにも相場が動きやすい時期があります。判断材料として、こちらの記事もあわせて確認してみてください。


まとめ

2026年の改正で「下がったもの」と「変わらないもの」を整理すると、次の通りです。

  • 下がった:環境性能割の廃止で購入時の負担(課税対象だった車)、ガソリン暫定税率(約25.1円/L)の廃止で給油代
  • 変わらない:毎年の自動車税、13年超の重課(自動車税 約15%・重量税 約40%水準)
  • 条件つき:エコカー減税は2028年4月末まで延長されたが、要件は段階的に厳格化

恩恵を受けやすいのは「これから燃費の悪めの車を買う人」と「給油量が多い人」です。一方、13年超の重課がかかっている車に乗っている人は、値下げの恩恵がガソリン代に限られるため、「乗り続けるか売るか」を数字で見直す好機といえます。


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重課された古い車に乗り続けるか迷っている方は、まず今の相場を確認してから判断してください。

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